No.107 異物の処理を助ける条件を整える漢方
血液中の白血球などの多種類の細胞と抗体などの産生物質からなる免疫系は,人体に有害な異物を見つけ出し,破壊・処理するための体内の仕組みです.感染症を起こすウイルスなどの病原体のほか,悪性腫瘍のもとになる癌化細胞も異物として攻撃する対象になります.免疫系が弱まって抑制が利かないと,必要以上に,または,無害な物質や自己の組織に対する過剰反応・自己免疫を起こします.
免疫系は異物とどのように闘うか,ミクロなメカニズムが20世紀以降に解明されてきましたが,漢方では,何千年も前から現象に即したマクロな分析で,「正気」と「邪気」の闘争と理解してきました.「邪気」は顕微鏡的な病原の正体ではなく,症状から推察される病原の本質を意味します.感染症を起こすのは「風」,腫瘍を生じるのは「癌毒」と表します.免疫系の過剰反応や自己免疫も「邪気」の仕業に含めます.「正気」は,これら内外の「邪気」を制圧して生命を維持する人体の能力です.
「シベリア霊芝」は,ロシアのシベリア地方原産の「チャガ」というキノコの菌核で,漢方では「霊芝」に例えられる価値をもつ生薬です.「肝」と「腎」に働いて「気」を補います.さらに,「邪気」の温床になる,水分代謝の停滞から生じる「痰湿」を解消する薬性が特徴的です.体内の「正気」を優勢にして,「邪気」が増殖しにくい環境を保ちます.漢方流の視野から免疫系に関わる病気の治療と予防を支援します.
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