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No.118 病気を防ぐための力強さを整える漢方

治療法がどんなに進歩しても,体力がないと病気をしっかり治すことも防ぐこともできません.漢方では,人体組織の機能の力強さが不足している状態を「気虚」と表し,病気になりやすく治りにくい背景になると考えます.

皮膚と粘膜の体表組織の機能の力不足を表す「衛気虚」は,風邪を引きやすい・寒けを感じやすい・すぐに汗が出るなどの症状から,さらに,病原体や異物の侵入を防げず,環境の変化に適応できず,あるいは,皮膚や粘膜への刺激に対する免疫反応を制御する力がないため,過敏な拒絶反応を起こし,感染症・アレルギー・気象病・熱中症などが起こりやすく治りにくい背景になります.体表にまで力を届ける生薬「黄耆」を主とする「玉屏風散」などの処方の長期服用で「衛気虚」が背景の病気を予防し,治りやすくする力を整えます.

胃腸を中心とした消化器系の機能の力不足を表す「脾気虚」は,食欲不振・少食・もたれやすい・軟便・食後眠い・疲れやすいなどの症状から,さらに,栄養吸収効率が悪いため,胃腸の組織自体が脆弱になって,あるいは,全身の筋肉が痩せて弾力も失われ,胃腸から全身にわたる様々な器官の病気が起こりやすく治りにくい背景になります.消化器系に力をつける生薬「人参」を主とする「参苓白朮散」などの処方の長期服用で「脾気虚」が背景の病気を予防し,治りやすくする力を整えます.