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「逆流性食道炎」よくならない人に・・・

ほとんどの方が、西洋医学では診断しづらいストレス性によるもの・・・

「逆流性食道炎の病理」をみてみましょう!

胃を痛がるパンダ。逆流性食道炎 最近、我々のような漢方薬局にも様々な医療機関で逆流性食道炎の治療を受けているが一向に良くならないという相談が増えてきています。逆流性食道炎は西洋医学的に考えると、ストレスや暴飲暴食などによって食べ物を消化しようとする強い酸(胃酸)が逆流し、食道内に長く停滞し炎症を起こすものです。その症状として「胸やけ」があります。また、逆流性食道炎はせきや喘息発作を引き起こす事があります。逆流性食道炎に関するネット掲示板では、多くの人が「ゲップ」の症状を訴えており仕事にまで支障をきたしているのには正直驚いています。

 さて「逆流性食道炎」の病理を我々の専門である中医学で考えて見ましょう。中医学では胃腸を「脾胃」としています。「胃」は西洋医学の胃とほとんど同様に理解してもらって構いませんが、中医学での「脾」は「小腸・大腸などを含めた消化器官」を指し少し分かりづらいかもしれません。中医学での「胃」の機能は、中医学では「受納」と「腐熟」といって、口から入った食物や水を胃が受けて納め(受納)、初期消化(腐熟)をして、これらを十二指腸に送る仕事をしています。小腸・大腸などを含めた消化器官である「脾」の機能は、胃が消化吸収したこれらの栄養素(水穀精微)を消化吸収し変化させて運ぶという意味で中医学では「運化」と呼んでいます。

 また脾胃の消化吸収を助けている働きが中医学での「肝の疏泄(そせつ)」です。疏泄の「疏」は、脾が消化吸収を助けるという意味で、「泄」はこの胃の初期消化の機能を助けるという意味です。中医学での肝の疏泄には、脾胃の消化吸収を助ける働きの他に、重要な機能として、精神を伸び伸びさせる働きがあります。簡単に言えば、精神的ストレスなどを処理する機能です。もし精神的ストレスが強く、肝の疏泄の機能がその処理範囲を超えると、肝の疏泄機能の失調となります。これを「肝気鬱結」または「肝鬱気滞」と呼び、女性では月経前の乳房の張り、生理不順などがあり、全般的にはイライラ感などの症状が現れます。

 またこの「肝気鬱結」が脾胃(消化器)の機能に影響を及ぼすと、精神性の胃腸炎となり、その一つが「逆流性食道炎」と中医学では考えています。この肝の疏泄機能を高めることにより精神を伸びやかにさせる考え方や方法は、西洋医学には無く、これは中医学の大きな特徴といえます。当然、脾胃機能低下自体による逆流性食道炎も考えられますが、私たちのような漢方薬局に訪れるほとんどの方が西洋医学では診断しづらいストレス性によるものです。

どんな症状があるのでしょうか?

 気はエネルギー的で空気のようなもので、精神的ストレスなどによる「肝鬱気滞」は、次々と流れ込んで来る気がある部位に滞り、行き場を失った気が横に広がろうとする状態を指します。その結果、”張(中医学では脹と書く)る”という症状が現れ、この状態が胃腸にある場合には”ゲップ”や”おなら”が多くなりますが、そのことによって滞った気が発散されるので症状が緩和されるのが特徴です。

 胃の機能で初期消化をして栄養物を十二指腸に送る機能を「胃気」と言います。下降に働く胃の気が下がることができずに胃に留まれば”膨満感”となり、逆行して上昇すれば、”胸やけ”や”ゲップ”の症状が現れ、激しい時には”嘔吐”となります。

 脾は、胃によって初期消化された栄養を吸収しますが、この機能が低下すると”下痢”または”便秘”を起こし、肝が脾に作用した時は”腹痛を伴う下痢”となり腹痛が治まります。しかし、しばらくするとまた腹痛と下痢が起きたりします。これを中医学では「痛瀉」と呼んでいます。

最後に・・・ストレスをためず 多量の飲酒はダメ!

 最後に、逆流性食道炎は、精神的ストレスがベースになっている場合が多く、漢方薬を服用すると同時に、ストレスをうまくためずに処理する方法を見つける必要もあります。ストレスを解消する方法として飲酒がありますが、少量では抗ストレス作用があるので逆流性食道炎に対し有益ですが、多量の飲酒では、多量の胃酸を分泌させるので逆効果となります。アルコールは程ほどにして飲みすぎには注意しましょう。


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