「冷え症」でお悩みの方へ
冬になると冷え症のご相談が多くなります。最近では夏場でもクーラーや冷たい飲食物の影響で体が冷えてお困りの方がいらっしゃいますが,やはり冷え症がつらいのはこの冬場ですね。冷える部位で多いのは手足の先で,そのほか腰,お腹,全身などが挙げられます。
冷え症の原因は,単に環境的なものだけでなく,実は体内の代謝や循環,五臓六腑の失調などの表れであることが多いのです。同じ冷え症であっても,人それぞれ体内の状況に合わせた対策が必要です。
冷え症の原因を考えよう!
体内の問題として以下のようなことが挙げられます。
- 体力不足(体温を生み出す力が低下します)
- 胃腸虚弱(食物からのエネルギー産生が低下します)
- 血行不良(体温を全身に送れません)
さらに悪化要因として,次のようなことが関係します。 - 強い寒冷刺激(体温を逃がすまいと血管が収縮します)
- ストレス(頭部や中心が興奮して活動モードとなり,血圧を上げるために末梢血管が収縮して血流が悪くなります)
①②③は元々の体質の他に食事や運動(不足でも過労でも)などの影響で引き起こされます。
④は冬という季節的な要因はもちろんのこと,その他に夏のクーラーや,スーパーマーケットなど冷蔵・冷凍施設の付近でお仕事をされている方なども該当します。
⑤は緊張しやすい方,神経質な方などに多くみられます。
体を温めるパワーを向上させよう!
体力不足の方
全身,とくに腰から足が冷え,手足や頭部にも及ぶ。足腰がだるい。疲れやすい。夜間頻尿。すぐに横になりたがる。
活力を増強し血行促進!
なるべく暖かい環境で過ごしましょう。食材では,クルミ,ニラ,羊肉,鶏肉,エビ,なまこ,山芋などが役立つと言われています。中医学では,鹿茸,桂皮,附子,イカリソウ,冬虫夏草などの生薬が用いられます。
胃腸虚弱の方
胃腸虚弱。食欲不振。腹部や手足の冷え。元気がない。下痢しやすい。唾液が多い。
消化吸収の力を強めましょう!
体を冷やす食べ物とされる冷たいもの,夏野菜,南国の果物などは控えめにしましょう。食材では,穀類,イモ類,きのこ,しょうが,ねぎ,鶏肉などがよいと言われています。中医学では,朝鮮人参,黄耆,山薬,茯苓,白朮,乾姜,附子などの生薬が用いられます。
血行を改善しよう!
血の不足がある方
手足の先,足の内側,陰部,下腹部などが冷える。顔色に艶がない。爪がもろい。筋肉のひきつり。月経の遅延。
血の栄養状態を改善しましょう!
体の保温に努めましょう。バランスのよい食事を心がけましょう。食材では,緑黄色野菜,黒豆,ひじき,レバー,しょうが,プルーン,レーズン,なつめ,桃,ザクロなど。中医学では,当帰,熟地黄,桂枝,乾姜,呉茱萸,芍薬などの生薬が用いられます。
瘀血のある方
瘀血とは,停滞する汚れた血のことで,「黒ずむ・痛む・しこる」といった特徴のある症状を伴う。下半身が冷えやすい。顔色や唇が暗みを帯びる。頭痛・肩こりがある。月経痛がひどい。
食事や運動で血行を改善しましょう!
適度な運動を心がけ,甘いものや油っこい食事は控えましょう。食材では,山椒,シナモン,アジ,サバ,ニラ,ネギ,しょうが,黒酢,サンザシ,サフランなど。中医学では,丹参,桃仁,紅花,赤芍,桂枝などの生薬が用いられます。
ストレスを発散しよう!
ストレスが溜まりやすい方
緊張や不安感,精神的ストレスなどによってイライラや胸腹部の膨満・ゲップなどを伴う。手足が冷える。ときにのぼせや頭痛がみられる。
ストレスを発散しましょう!
気持ちを落ち着かせる時間を持ちましょう。ストレスを忘れられる音楽鑑賞や軽い運動などを趣味に持つとよいようです。食材では,パセリ,梅干し,レバー,黒酢,ハーブティーなど。中医学では,柴胡,薄荷,枳実,芍薬,蘇葉,香附子,厚朴などの生薬が用いられます。
総合的な観点で取り組みましょう!
一般的に冷え症の原因は,上述のようなことが複合的に関わっていることが多いと言えます。車や便利な機器の普及による運動不足,グルメ時代による過食,ストレス社会,水の大量摂取・・・・といったことが当たり前となっていることが背景にあると考えられます。今一度,生活習慣を見直してみることも大切かもしれません。
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